第48章

彼の声は少しかすれていて、露骨に不機嫌だった。

古川朱那は眉をつり上げ、嘲るように言う。

「私は自分のものを取り戻しただけよ」

「おまえ……」

古川礼和は腹の底から煮えくり返った。

母が亡くなるとき、確かに朱那へ残す資産の話は出ていた。だが礼和はずっと思っていたのだ。朱那に、そこまで与える必要があるのか、と。

古川家の規模を知る者なら誰でも分かる。たとえ株が5%でも、毎年の配当は天文学的な数字だ。朱那が数世代寝て暮らしても余る。

なのに女の子がそんな大金を持てば、周囲に狙われる。幸福になるか災いになるか、分かったものではない。

「兄さん、もう迷わないで。私、成人してるの」朱那...

ログインして続きを読む