第50章

一瞬、会場の視線がマイルズ夫人の目線につられるようにして、周防天華へ集まった。

彼女の首元に揺れる象牙のネックレスは、なめらかで繊細な艶をまとい、ホテルロビーのきらめくシャンデリアの光を受けて、しっとりと乳白の輝きを放っている。

高価な装飾品に詳しくない者でさえ、思わず二度見してしまう質感だった。

時間が、ふっと止まったように感じられる。

周防天華は、皆が自分を見ていることに気づく。とりわけ、あの「マイルズ夫人」とやらに見られていることが気に入らなかった。

彼女はすぐに細長い首をわずかに持ち上げ、より見せつけるように顎を引く。相手に見やすいようにしてやっている、とでも言いたげに。視...

ログインして続きを読む