第52章

息をするのも苦しくなって、古川礼和は古川朱那をまっすぐ見つめたまま、いつまで経っても言葉が出なかった。

「古川礼和。その上から目線、やめてくれる? 私はあなたに何も借りてない」

古川朱那は言い捨てると、踵を返して歩き出す。

宴はほどなくお開きになり、古川朱那たちはマイルズ夫妻を見送り、車が遠ざかっていくのを最後まで目で追った。

ちょうどそのとき、須藤若菜から電話が入る。若菜の家に寄ろうと思った、その背中に――。

「古川朱那。今日のこと、説明する気はないのか」

背後から、古川邦夫の湿った声が落ちてきた。露骨な不機嫌が滲んでいる。

ほんと、古川礼和と同じ性根。

朱那は振り返りもせ...

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