第60章

自分の考えを率直に打ち明けた。雨音の前では、余計な仮面なんていらない。

今回、雨音の返事は早かった。しかも、はっきりしている。

「使えるものは全部使っていい。自分の道を切り開きなさい。ただし、最低限の一線だけは越えないこと」

古川朱那はその一文を見つめ、胸の奥に残っていた小さな違和感が、すっと撫でられるように消えていくのを感じた。

そうだ。自分はただ身を守りたいだけ。縛りを断ち切りたいだけだ。誰かを積極的に傷つけたり、手に入れる資格のないものを奪ったりするつもりはない。

朱那はスマホを置き、窓の外の夜景へ視線を戻した。

さっきよりも、目が冴えている。覚悟が澄んでいく。

――でも...

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