第8章
向こうの茶番が終わるのを待つまでもなく、私は踵を返し、よろめきながら自分たちの育巣へと駆け戻った。
「レイヴン? どうしたんだ」
ケイドは私の怯えを即座に嗅ぎ取った。防護結界を解き、大股で近づいてくると、今にも崩れ落ちそうな私の身体を片腕で支える。
私はその手を振りほどき、恒温の石床へ飛びついた。
襁褓の中で静かに眠る、三つの小さな命。呼吸は穏やかで、暗紅の生まれたての幼鱗は澄んだ艶を帯び、どこにも歪んだ四肢はない。濁った気配もない。
「怖がるな、レイヴン。俺を見ろ」
背後からケイドが抱きしめる。太く強い腕が、絶対的な安堵を体温に変えて私へ流し込んだ。
耳元に柔らか...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
縮小
拡大
