第6章
星辰レコードの社屋ビルを見上げ、藤井悠真は小さな顔をこわばらせていた。
「お母さん、いつ帰るの?お父さんがお家で待ってるよ」
その無邪気な一言が、神谷悠太の心を深く抉った。沈んでいた気分が、さらに冷たい底へと落ちていく。
思わず目の前の少年の襟首を掴みそうになり──すんでのところで堪えた悠太は、代わりに凍るような一言を吐き捨てた。
「……ほんと、ムカつくな、お前」
「悠太!」
鋭い声とともに、美月がさっと二人の間に割って入る。片手で悠真の肩を庇うように抱き、もう片方の手で悠太の腕を優しく、しかし制するように撫でた。
今の悠太が、感情の針を振り切らせた極度に危うい状態に...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章


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