第8章

美月と悠真がマンションに戻ると、彼女はふと友人の頼みを思い出した。

昨日、佐藤明子から電話があり、会社に来て新人クリエイター数名を指導してほしいと頼まれたのだ。

美月は一瞬ためらったが、最終的に引き受けることにした。この世界に滞在するのは一ヶ月だけだが、明子はこの世界での親友だ。長いこと会っていなかったのだから、力になってあげたい。

「悠真、お母さん、今日はお仕事に行かなきゃならないの。一緒に行く?会社には託児スペースがあって、お友達もたくさんいるわよ」

悠真は歓声を上げて賛成し、ぴょんぴょんと跳ねながら着替えに行った。

オフィスビルに着くと、美月は悠真を連れて社員...

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