第9章
朝の光が、カーテンの隙間からアパートの一室に差し込んでいた。安田美月は窓辺に立ち、神谷悠太の誕生日を記したカレンダーの印に、静かに目を落とす。
彼女はそっとため息をつき、ここ数日の悠太の様子を思い返した。
「あの子、ずっと悠真の首にあるお守りを見てるわ」
美月は窓枠を指でなぞりながら独りごちる。
「私が何度も止めなかったら、悠真と直接ぶつかって、あのお守りを奪い取っていたかもしれない」
美月は悠太の誕生日プレゼントとして、新しいお守りを用意することに決めた。
かつて神社で習った作り方を思い出し、布と針と糸を取り出したが、その指は途中で止まってしまう。
あまりに長い間...
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2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

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9. 第9章

10. 第10章

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