第106章

昼どき。白い車が市中心の幹線道路を、矢のように飛ばしていた。

流れるような車体が車列の隙間を縫うたび、あちこちでクラクションが鳴り、近くまで寄れば罵声まで飛んでくる。

車内の古崎は険しい顔のまま、クラッチとサイドブレーキを的確に操り、風に散っていく怒鳴り声など耳にも入れない。

幸村蓮二の言葉が、まだ鼓膜の奥に貼りついている。だから一瞬たりとも気を抜けなかった。

『涼宮晴子は外勤に出てる。携帯は圏外だ。住所を送る、今すぐ迎えに行って連れて来い。暁の周りは、連中の手下だらけだ』

目の前には、ぎゅうぎゅうに詰まっているくせに、どこかに必ず穴のある車の流れ。耳元には、自分の心臓の音だけがや...

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