第107章

古崎琴也は、結局その問いに答えなかった。

帰り道も、二人は一言も交わさない。車はどんどんスピードを上げ、涼宮晴子は横のアシストグリップをきつく握り、身体を強張らせたまま黙り込んでいた。

そのころ、崎原家の別荘では――。

幸村陸斗が蒼白な顔で玄関から出てくると、庭にいた連中が一斉に視線を向けた。入口に近い二人が、迷いもなく真っ先に歩み寄る。

「陸斗さん、どうしました」

しゃがれた声で問うたのは、頬に刀傷のある男だった。首元、喉仏のあたりにも同じような傷が走っている。

幸村陸斗は目を伏せ、反射的に煙草を取り出す。唇に咥えた瞬間、別の部下がライターを差し出した。カチッ。小さく火が揺れる...

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