第108章

不意にそんな光景を目にして、幸村陸斗も一瞬だけ思考が止まった。だが立ち尽くす暇などない。次の瞬間には踵を返し、入口に倒れている医師へ視線を叩きつけると、脚を大きく振り上げて――容赦なく蹴り込んだ。

『くそ!』

吐き捨てるような罵声。踏み抜く力は、磨かれた大理石ごと砕きたいとでも言うみたいだった。

医師はすでに拳をまともに受けている。そこへ追い打ちの一撃。悲鳴を上げる間すらなく、身体がびくりと跳ねたきり、あっさり意識を手放した。

――だが、一発で収まるはずがない。

陸斗は医師の腰に馬乗りになり、拳を振り下ろす。何度も、何度も。骨に当たる鈍い感触が拳に返り、肉が潰れる音が耳に残る。怒り...

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