第113章

Y市。

重厚な小林家の門が、ぎい……とゆっくり開く。M市から戻ったベントレーは一切減速せず、そのまま敷地内へ滑り込んだ。

小林光は赤ん坊を抱くのが得意じゃない。まして、ふにゃふにゃに柔らかい女の子となればなおさらだ。

だから、赤ん坊は相変わらず付き添いの介護士の腕の中にいた。

小さな身体は、柔らかなエジプト綿の長繊維の布にくるまれている。介護士はその布地に触れただけで、強引に赤ん坊を連れ出したこの男が、どれほどの人物かを悟った。

「お、お嬢さん……?」

屋敷の執事は赤ん坊を見た瞬間、驚きで口ひげがぴんと跳ね上がり、基本の礼儀さえ吹き飛んだ。

赤ん坊を見ては小林光を見、また赤ん坊...

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