第114章

小林暁は、成田七海の返事をまだ待っていた。

あの、疑いようのない信頼に満ちた眼差しが刃みたいに胸へ突き刺さって、七海の酸っぱい心臓が、かすかに跳ねる。ただ、壊れないように平静を装って、機械みたいに呼吸だけを続けていた。

『撮ってないよ』

成田七海は写真を出せない。だからこそ、できるだけ軽い調子で――本当のことを言い、そこに少しだけ嘘を混ぜた。

『暁、あんた大出血だったんだよ。そんな状況で、誰があいつの写真なんて撮れるの』

『……私が、大出血?』

小林暁はその場で固まった。

脳内で、ぶわっと音が弾けた気がした。

何かを思い当たったみたいに、身体の芯から強張っていく。動くのは、眼...

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