第115章

けれど、幸村陸斗の訪問は、ほとんど歓迎されなかった。

本人もそれは分かっている。だから玄関先に立ったまま、ほんの一度だけ中を覗き、それきり黙って佇んでいた。小林暁が口を開いたのを聞いて、ようやく――何も言わずに去っていった。

病院の4階。

小林ゆきたちは、すでに荷物をまとめ終えていた。

出産して間もない母親として、小林ゆきは風よけの帽子をかぶり、ゆったりとした通気性のいいワンピースを身につけ、すっぴんのまま病室の前に立っている。

眉を寄せ、横の鏡に不満げな視線を投げた。

『……どうして、絶対にこの格好じゃないとだめなの?』

こんなみっともない姿で小林暁の前に行って、嫌味を言った...

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