第121章

成田七海は、ようやく「何かがおかしい」と舌の上で形になった。

『ってことは……この件をあなたに隠せって、崎原時男の指示だったの? どうして?』

その答えを、小林暁も知りたかった。

心の中にはいくつも仮説が浮かんでいた。けれど、どれも自分が望む形に当てはまらない。だから暁は、その問いに沈黙で返した。

沈黙の次に来るのは、話題のすり替え。

『崎原孝樹は、善意で来るタイプじゃない。あいつは腹が黒いし、手も容赦ない。高校の頃からずっと、手に入らないなら壊すってやり方だった』

そこまで聞けば、成田七海が察しないほうがどうかしている。表情が、じわりと引き締まった。

『……わかった』

七海...

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