第124章

幸村蓮二の言葉は真面目で、いかにも切迫していた。だが、それだけで介護士を脅かすことはできない。

彼女は小林恵子が雇った人間だ。第一の任務は、小林暁の身の安全を守ること。さっき固まったのは、何が起きているのか把握できていなかったからにすぎない。だが今、幸村蓮二が毛布にくるんだ小林暁を抱え、窓際へ向かうのを見て、はっと我に返った。両腕を広げて立ちはだかる。

『幸村さん、何をするんですか。あなた……』

問い詰める声が出た、その瞬間。

幸村蓮二が淡々と、ひとつの名を口にした。

『崎原孝樹』

介護士の口が、ぴたりと止まる。崎原孝樹のことは知っている。以前、小林ゆきが見舞いに来た件からしても...

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