第13章

シャワールームは針一本落ちても聞こえそうなほど静まり返り、ぽたり、ぽたりと落ちる水音だけが、今夜の独奏みたいに響いていた。

小林暁はしばらく棒立ちのまま動けなかった。やがてゆっくりしゃがみ込み――検査薬に指先が触れた瞬間、びくりと身を強張らせ、勢いよくそれを掴み取る。迷いを漂わせていた表情は、刃のような硬さに変わった。

このことは、絶対に隠さなきゃ。

崎原時男がこの子を歓迎するはずがない。知られたら、彼女の立場は今よりもっと酷くなるだけだ。

検査薬を握ったまま洗面室を出る。だが、玄関へ向かう途中でほとんど反射的に引き返し、ゴミ箱に捨てた外箱の紙パッケージまでまとめて回収した。

心臓...

ログインして続きを読む