第136章

幸村陸斗は冷ややかに嗤い、身体を前へ倒して書斎机に手をついた。手入れもしていない髪が俯く動きに合わせてさらりと落ち、視界を塞ぐ。苛立つように手でかき上げ――

『……マジで狂ってる』

眉間に深い皺。表情は硬いまま、部下が持ち帰った資料を端から開いていく。

どこかを見落としている。

その考えが脳裏をよぎった瞬間、幸村蓮二の写真が目に入った。

少し名の知れたカメラマン。調べるには、いちばん手っ取り早い部類だ。

幸村陸斗は写真をつまみ上げ、じっと眺めてから、続けて蓮二の経歴をめくる。案の定、カメラマンという肩書きは掘りやすい。

学歴から、子どもの頃の失敗談まで。大きいことも小さいことも...

ログインして続きを読む