第140章

スペインにて。

ミゲロに連れられて馬場へ入った幸村蓮二は、自分の顔がすでに周囲の視線を集めていることに気づいていなかった。

隣の相手と笑いながら言葉を交わし、遠くで誰かが自分の容姿を照合していることにも、まるで無頓着だ。

『幸村さん』

幸村蓮二の名は、それなりに知られている。噂を聞きつけた者たちが次々と寄ってきて、挨拶と世間話を仕掛けた。

けれど、幸村蓮二は自分から新しい友人を作るタイプではない。

上司は藤原嘉人。彼の立ち居振る舞いも、付き合う相手の方向性も、ほとんど藤原の意志に沿って決まっている。

――ただ一度だけ例外がある。小林暁を連れてスペインへ来た、この判断だ。

藤原...

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