第146章

円卓の向こうに座る崎原時男は、沈んだ目をしていた。入ってきた成田七海の姿も見ていない。友人が彼女と揉めていようが、気にも留めない。

視線は扉の向こうへ抜け、廊下へ、さらに先の石庭へと伸びていく。

だが、そこに小林暁の影はなかった。

時男は視線を引き戻す。舌の上に残る、ほんのり苦いお茶の渋みが、頭を妙に冴えさせた。

暁が七海について来ていないなら、幸村蓮二のそばにいる可能性が高い……バルセロナ。崎原グループはあちらにも商流がある。行こうと思えば行ける。だが、ミゲロ・ジェルデスに繋がる糸が、まだ足りない。

――事業を広げるしかないか。

そう考えながら顔を上げると、七海はすでに席に着き...

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