第42章

小林ゆきの言葉は鬼の囁きみたいに、林暁の耳にまとわりついて離れなかった。暁は瞬きもせず、目の前のゆきの瞳をじっと見据える。

幼い頃の暁は、ゆきが父親譲りの目を持っていることを、ずっと羨ましいと思っていた。

祖父もまた、その目のせいでゆきをひいきした。悪いことをしても、ちょっと甘えれば許される――そんなことが日常だった。

「うちのゆきは、目がほんとに綺麗だ」

親戚たちまで、口をそろえてゆきの目を褒める。

それに比べて暁には、軽いひと言が落ちてくるだけ。

「こっちは母親にそっくりだな」

暁だって、ゆきの目が綺麗だと思っていた。笑うと目尻がきゅっと上がって、三日月みたいで――そこに少...

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