第46章

崎原時男は勢いよく上体を起こした。頭が割れるほど痛く、胸元に置かれていた腕がするりと滑り落ちる。

「くそ……」

低く吐き捨て、時男はその腕を容赦なく払いのけた。

昨夜の記憶が競うように脳へ雪崩れ込み、ただでさえ膨張する痛みをさらに刺す。こめかみの血管が、呼吸に合わせてどくどくと脈打った。

時男は高校の頃から酒席に出入りしてきた。節度は守る。酔っても、意識が飛ぶところまでは持っていかない――それが自分の流儀だった。

実際、宴席でのやり取りも覚えている。ホテルへ戻ったところまでも、はっきりしている。だが、小林ゆきが運んできた、あの晩の醒ましのスープを口にしたあたりから、記憶が急に霞み、...

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