第48章

小林ゆきが崎原家を出ていってから三日後――崎原時男はようやく出張を終え、帰ってきた。

彼が屋敷に戻ったのとほぼ同じ頃、小林暁もまた帰宅したところだった。

「若様、奥様がお戻りです」

車のドア脇に立った羽村秘書が、門をくぐって入ってくるベントレーに視線を走らせる。すぐに目を伏せ、降り立ったばかりの崎原時男の耳元へ、低い声でそう告げた。

崎原時男は片手でジャケットのボタンを留めながら、反射的に門のほうを見る。

ベントレーはプライバシーガラスが徹底されていて、運転席の大崎の姿は見えても、後部座席の女の影すら掴めない。

それでも目は、あの漆黒の窓に吸い寄せられていた。まるで、そこに小林暁...

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