第58章

藤原空人が来ると分かっていたから、成田七海はわざわざ評判のいい中華料理店を選んだ。古色を帯びた造りの店構えも、この通りでは不思議と浮かない。というより、通り全体がその店に合わせて統一されているのだ。

一行が店に足を踏み入れるなり、専属の係がすぐに駆け寄ってきた。

「成田様、藤原様」

係の女性は満面の笑みを浮かべ、所作も見事だった。視線を一同に走らせると、まず藤原空人に小さく頷いてみせ、それから改めて成田七海へと意識を戻す。

「成田様、個室のご用意が整っております。こちらへどうぞ」

成田七海は頷き、皆を連れて係のあとに続いた。

「成田様」

個室へ入った途端、ソファに座っていた男が...

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