第61章

小林ゆきが最後に崎原時男と顔を合わせてから、すでに一週間以上が経っていた。

――長すぎる。

たとえあのとき崎原時男のプロポーズを断ったとしても、あの男なら二日もすれば、尻尾を振ってすり寄ってきたはずだ。それが、今回は違う。

『いったい、あとどれだけ待てばいいの!』

小林ゆきは再び早村に電話をかける。声は掠れ、怒りだけが空回りしていた。

『全部あなたの悪知恵のせいよ! 崎原時男、私の電話をまったく取らないんだから!』

『まあまあ、落ち着いてくださいよ、小林さん』

早村の声は妙にのんびりしている。

『妊娠ってのは、時間がかかるものでしょう? 明日、適当な口実を作って、崎原様に医者...

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