第80章

早村茜は母の叱責を聞きながら、胸の奥で小林暁への嫌悪をいっそう募らせた。けれど、あとから母に調べられて余計に面倒になるくらいなら――と、渋々ながらも正直に話す。

娘の乾いた説明を聞くにつれ、小林美恵の眉間の皺は深くなっていき、最後にはほとんど結び目みたいになった。早村茜が言い終えるなり、彼女は娘をきつく睨みつける。

『……愚図ね』

早村茜の不満の原因が、あの日の『叱られた』程度のことだと知ったうえに、その話を小林光の耳にまで入れてしまったと聞いた瞬間、小林美恵は目の前が暗くなり、反射的に吐き捨てた。

早村茜は一瞬きょとんとして、それから唇をきゅっと結ぶ。溜め込んだ委屈がこぼれそうな声...

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