第81章

M市は海に面している。街の北西には、使われなくなった埠頭がひとつ――ぽつんと取り残されていた。

深夜。

男がふらつきながら、埠頭の外側を走る道路を歩いてくる。足取りは重く、息は荒い。片手で肋骨の下あたりを押さえ、痛みに歪んだ顔は獣じみていた。

その道は何年も前に廃道同然になっている。行き止まりの先にあるのは、あの廃埠頭だけ。車も通らず、歩く者もほとんどいない。

路面には砕けた石が散らばり、ところどころ深くえぐれて落ち込んでいた。

行政が整備するつもりだ、という噂はある。だが予算が下りても、どこにも繋がらないような道は、結局いつも後回しだ。

男はわずかに顎を上げた。額の傷から流れた...

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