第83章

幸村陸斗は、変わり者だ。

もとは刑事課の小隊長だったのに、崎原時男が「出しすぎた」せいで、喜んで子分になった――らしい。

もちろん、それを言っているのは幸村陸斗本人である。

小林暁は覚えている。背の低い男が煙草をくわえ、へらへら笑いながら新人に武勇伝を語っていた姿を。

崎原時男が、いくつかのグレーな商売に手を伸ばしている可能性があることは、暁にもわかっていた。世の中には、表の手段だけでは抑えきれないものがある。

ただ――崎原時男は、いわゆる「坊ちゃん」のやり方とは少し違う。

幼い頃、崎原家の正統な環境で育ったわけではない。だからなのか、彼が選ぶ「抑え方」は、もっと冷たく、もっと狡...

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