第95章

小林暁は夢にも思わなかった。小林雪が、こんなところで自分を待ち構えているなんて。

Y市でのフェリー旅は思いのほか快適だった。船内には簡易の医療スタッフまでいて、暁はついでに軽い妊婦健診を受けた。

もちろん結果は異常なし。

そのあと暁は、崎原時男と一緒にM市へ戻った。

異変が起きたのは、M市に戻って三日目のことだった。

その日、M市の母子用品専門会社が、崎原時男夫妻を見学に招待してきた。表向きは開業祝いの内覧会。だが実際は、どうにかして崎原時男とパイプを作りたい――そんな魂胆が透けて見える。

崎原グループは母子用品分野に大きく投資していない。主な収益は医療で、母子用品にも利益はある...

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