第99章

成田七海がドアを引くと、真っ先に飛び込んできたのは、にこにこと笑う顔だった。続いて、やけに朗らかな挨拶。

『やあ、成田さん。久しぶり』

成田七海は幽霊でも見たみたいに、ドアノブを握った手を離さない。

『……何しに来たの?』

まさか藤原空人が自宅の玄関先に現れる日が来るなんて。しかも、あいつと崎原時男の関係を思い出した瞬間、家の前が汚されたような気分にまでなる。

閉められそうだと察したのか、藤原空人は足をすっと差し込み、ドア枠に靴先を引っかけた。そのまま手に提げてきた滋養品と、犬用の缶詰を軽く持ち上げて見せる。

『通りがかったついで。顔見に来ただけだよ。兄嫁、いる?』

『いないし...

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