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白川蘭視点

やっぱり。あの人、明け方まで起きていたんだろう。今ごろはきっと、ぐっすり眠っている。

腹は立たなかった。スマホを脇へ放り、スーツケースからスケッチブックと鉛筆を取り出す。床まで届く窓の前のデスクに腰を下ろし、新しい彫刻の図面を描き始めた。

絵を描いている時と、彫刻に向き合っている時だけだ。私が穏やかで、満たされた気持ちになれるのは。

食事の時間になると、ホテルのルームサービスがきっかり届けられた。どれも見た目が美しく、味つけも私の好みに合っている。

誰に聞くまでもない。その代金が後藤正樹の勘定になっていることくらい。

午後3時半、デスクの角に置いたスマホがようやく鳴っ...

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