103、

白川蘭視点

私が後藤正樹のマンションに身を寄せることになった日、ちょうど後藤正樹は休暇中だった。

引っ越しを手伝うと言いながら、実際に動いたのは彼で、私は横で指示を出していただけ。

彼は車のトランクから、私のスーツケースを二つ、彫刻道具の箱を一つ、スケッチブックを三束、それから厳重に包んだ小さな石膏像まで、全部まとめて運び出した。

私は一番軽そうな包みを受け取ろうと手を伸ばす。

後藤正樹がちらりと私を見た。

「中身は」

「彫刻刀です」

「じゃあ持つな」

「少佐、私は彫刻をしてるだけで、手がないわけじゃありません」

「刺したら困る」

言い返す隙を塞がれて、結局私は手ぶらの...

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