16、

白川蘭視点

胸の奥が、ふわりと揺れた。

私は昔からクンシランが好きだ。けれど、どんな花が好きかなんて、わざわざ誰かに話したことはない。なのに後藤正樹は、まるで当然みたいに知っている。

彼が覚えていてくれたのか、それともただの偶然か。私には分からなかった。

一瞬ぼんやりして、すぐ我に返る。私は笑って挨拶をした。

後藤正樹が歩み寄り、腕に抱えていたクンシランを差し出してくる。

受け取った私は、壁際に置かれた口の広い素焼きの花瓶に気づいた。たぶん陸川先生が置いていったものだ。花瓶を持ってきて、何気なく花を挿す。

ふと、後藤正樹の視線がその花瓶に落ちた。

だから私のほうから説明する。...

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