23、

白川蘭視点

私は静かに路肩に立ち、後藤快斗の背中が夜の闇に溶けていくのを見送った。胸の奥が、ぽっかり空いている。

昔、高坂綾乃によく真っ直ぐ聞かれたものだ。

そこまでして、後藤快斗の何に執着してるの――と。

正直、私にもよく分からない。

ただ、ふとした拍子に思い出すのだ。十六歳のあの年を。

校外で不良に絡まれ、もみ合いの末に階段から転げ落ちて、腕の骨を折った日のことを。

人気のない病室。深夜。消灯後で、みんなもう眠っていた。

それなのに彼は、看護師さんの見回りをうまくやり過ごして、こっそり私の病室に忍び込んできた。

手のひらに大事そうに包んでいたのは、まだほんのり温かいキャ...

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