30、

後藤正樹視点

十年――。

彼女が、病気がちで細い体の小さな女の子だった頃から。今みたいに、息をのむほど綺麗に育ってしまうまで。

その十年、俺はずっと一線を守ってきた。胸の奥に潜む、日の当たらない欲なんて――なかったことにして。

骨の髄まで染みついた独占欲に、俺は自分の手で鍵を掛け、何重にも枷をはめた。

それなのに、今。

彼女は後藤快斗と別れた。

そして俺の部屋で眠っている。手を伸ばせば触れられる距離――五十センチもない場所で、無防備な獲物みたいに。

十年分の欲が、狂ったように叫びだす。

理性の糸が、限界まで張り詰めた。

俺はゆっくり膝を折り、視線が勝手に、わずかに開いた襟...

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