32、

白川蘭視点

私は後藤正樹を見上げて、小さな声で礼を言った。

「ありがとうございます」

けれど彼は聞こえなかったみたいに、淡々とした顔のまま、何の反応も返さない。

しばらく食べているうちに炭火の温度が上がり、夜風まで熱を帯びてきた。

淳史おじさんが後藤快斗に、物置から冷えた酒を持ってくるよう言いつける。

ほどなくして戻ってきた後藤快斗の手には、冷えたビールに加えて、ドリアンの箱まであった。

彼は何も言わず、まずそのドリアンを私の手元に置き、それから皆に黙って酒を配っていった。

後藤おばさんはしばらくして立ち上がり、後藤正樹と交代して、焼き台の前に入った。

空いている席はいくら...

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