48、

白川蘭視点

胸の奥でぐしゃぐしゃに絡まった感情を、無理やり押し込める。疑問のまま、口を開いた。

「もう帰ったんじゃなかったの?」

「帰るつもりだった」

彼の視線が、重くまっすぐに私へ落ちる。声にはほんの少しだけ笑みが混じっていた。

「でも、お前って昔から途中で抜け出すだろ。だから少し待ってみた。案の定、捕まえた」

思わず、口元がゆるむ。

「乗れ。送る」

「この辺、シェアサイクルの返却ポートないよ」

「トランクに突っ込めばいい」

彼は迷いなく車を降り、トランクを開けた。動きは速く、無駄がなく、芯がぶれない。長年の訓練で体に染みついた所作――そんな感じがした。

軽いシェアサ...

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