50、
白川蘭視点
「早すぎるよ。きっと、ほとんど寝てないでしょう」
私はぎこちなく話題を逸らした。
後藤正樹は低く笑った。
「俺の部屋、おまえの真上なんだ」
「もしかして、私がうるさくして起こしちゃった?」
「いや、そういうわけじゃない」彼は首を横に振る。「もともと寝つきがよくないんだ」
「不眠症なの?」
彼はもう一度、私を見た。そして、さっきと同じ言葉を繰り返す。
「言っただろ。おまえに会いたかったからだって」
まつげがかすかに震えた。手すりを握る指先に、うっすら汗がにじむ。
「私は海辺を散歩してくる。あなたは戻って休んで」
わざと視線を外してそう言うと、
「俺も行く」...
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