59、

白川蘭視点

後藤正樹がようやく動きを止めた頃には、私はもう、指先ひとつ動かせないくらいぐったりしていた。

彼は私を浴槽から抱き上げ、私はその胸にしがみつくように顔を埋める。頬の熱が引かない。血が滲みそうなくらい、真っ赤だったと思う。

丁寧に身体を拭かれ、そのまま部屋まで運ばれた。

意識はふわふわして、いつの間にか眠りに落ちる。次に目を開けたとき、窓の向こうはすっかり明るくて、時計は朝の9時を指していた。

隣を見ると、後藤正樹が横になっている。驚くほど穏やかな寝顔。安らかで、静かで――昨夜の熱を、嘘みたいに隠していた。

整った、彫りの深い顔立ち。濃い睫毛がまぶたに影を落としている。...

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