63、

白川蘭視点

あの夜、越えちゃいけない線は――私が自分の手で、崩れるのを許した。

まだ平気だ、まだ理性は残ってる。そう思っていたのに。

後藤正樹が唇を重ねてきた瞬間、そんなものは紙みたいに簡単に破れた。

「正樹……ん……」

声を出した途端、彼の手が私の腰のラインをなぞって入り込み、熱い掌が背中を覆う。するり、するりと上へ。ブラのホックが外される。

布がほどけた一瞬、ひやりとした空気と彼の体温が絡み合って、思わず肩が震えた。

彼は身体を起こし、狼みたいな目で私を見下ろす。

なのに動きは、怖いほど抑えられていて――ゆっくり、私の上着を押し上げ、胸元の白さを灯りの下にさらした。

肌...

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