65、

白川蘭視点

私はぼんやりとうなずき、紙袋を胸に抱き締めた。

一緒にエレベーターで下へ降りる。私は袋を抱えたまま俯き、隣の男をそっと盗み見ては、慌てて視線を引っ込めた。

チン、と音を立てて扉が開く。

一歩外へ出て、振り返る。

「あなたはそのまま上に戻って。私は自分で運転して帰れるから、大丈夫」

「送る」

有無を言わせない声だった。

「車で来たの、私だよ」

「知ってる」

思わず苦笑が漏れる。

「知ってるのに、送るの?」

後藤正樹は歩みを止めない。頑ななほどの態度。

仕方なく折れて、軽く提案した。

「じゃあ、運転手さんに車を回してもらって。あなたはそれで帰ればいい」

...

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