66、

白川蘭視点

母が手をひらひらさせた。

「ついでにあの子の分も頼んどいて。来たらすぐ食べられるようにね」

家を出る前、何となく小さな銀色のピアスを片方だけ付けた。ハーフアップの髪に隠れるくらいの、目立たないやつ。

ただ少しでもしゃんとして見えたら、くらいの気持ちだったのに――席に着いて、無意識に指先が耳たぶに触れた瞬間、遅れて緊張が込み上げてきた。

向かいでは、二人の母親がメニューを覗き込みながらあれこれ相談している。

後藤快斗が体を寄せ、声を落として聞いてきた。

「さっきからぼーっとしてるけど。最近、無理してない? ストレス溜まってるとか」

私は小さく首を振る。

「大丈夫。...

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