68、

白川蘭視点

私がなかなか動かないのを見て、後藤快斗はしびれを切らしたのか、そのまま手を伸ばしてヘルメットを私の頭にかぶせた。

今日の主役が珍しく「こうしたい」と言うのなら、水を差したくない。私は渋々、バイクの後ろにまたがる。

快斗もヘルメットを装着し、身をかがめてスロットルをひねった。エンジンが、腹の底に響くような低い唸りを上げる。

バイクはその場でくるりと流れるように向きを変え、幹線道路へ飛び出すと、郊外へ向けて一気に加速した。

私は両腕を彼の腰の横から回し、タンクに手をついて身体を支える。

凍てつく夜風が耳元をかすめ、ヘルメット越しにぼやけた唸りへ変わっていく。

その瞬間、...

ログインして続きを読む