71、

後藤正樹視点

朝の光がカーテンの隙間から差し込み、濃い灰色のフローリングに細い金の縁取りを落としていた。

目を開ける。腕の中の重みは、あたたかくて、確かなものだった。

蘭はまだ眠っている。小さな頭が俺の鎖骨にぴたりと寄り、呼吸は規則正しく長い。片手は無意識に、俺の襟元をきゅっと掴んだまま。

動けなかった。息さえ、わざと浅くする。

軍に長くいたせいで、朝は6時きっかりに目が覚める癖が抜けない。けれど今は、柔らかな布団の中で、何年も知っているこの子を抱いているだけで、身体に染みついた硬さも警戒も、全部ぬるい水みたいにほどけていった。

右手を伸ばし、手の甲でそっと蘭の額に触れる。

…...

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