73、

白川蘭視点

目を開けた瞬間、全身の鈍い痛みがどっと押し寄せた。

けれど、それよりもはっきり分かるものがある。隣から伝わってくる、あたたかな呼吸。

私はしばらく天井を見つめたまま動けなかった。昨夜の、制御を失っていたのに妙に冴えていた光景が、ひとつひとつ脳裏に蘇ってくる。

後悔はない。

ただ、心臓が落ち着かない。

落ち着かなさすぎて、すぐに彼のほうへ顔を向ける勇気が出なかった。

指先だけ、そっと動かす。触れたのは、熱のある胸板。

後藤正樹はまだ眠っていた。

仰向けのまま、片腕は私の首の下に回され、もう片方の手はゆるく私の腰に置かれている。

私はわずかに身を横へ傾け、目の前の...

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