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後藤正樹視点

J市の冬は、冷たくて湿っている。骨の髄まで染みる冷え方だ。野外駐屯で浴びてきた軍の寒風より、よほど人を削る。

ここ最近は、特別任務の後始末が立て続けに重なって、昼も夜もなく回り続けた。胸の奥にずっと引っかかったままの案件もあって、感情の逃げ場がない。気づけば、身体も神経も完全に擦り切れていた。

気温が落ちた日、俺はあっさり高熱を出した。重たい身体を引きずって後藤家に戻り、薬を飲んで横になる。あとは昏睡で誤魔化して、頭の中のぐちゃぐちゃを押し沈めるだけ――そう思っていた。

結局、全部が白川蘭に繋がっている。

俺は、あの日の約束をはっきり覚えている。

11月26日。考え...

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