88、

白川蘭視点

あれは、高校二年生の夏休みだった。成績は悪くなかったのに、私はどうしても美術大学の彫刻科を受けたいと言い張った。

父は猛反対した。最後には、怒りが爆発した。

放課後や休日に作った手仕事の作品は、全部、家の収納棚に並べてあった。

その日、怒り狂った父は、私の作品を一つずつ棚から引きずり出し――床に叩きつけた。

がしゃん、ばりん。

心血を注いだものが、粉々になっていく。

いちばん助けが欲しかった瞬間、玄関のほうでチャイムが鳴った。

来たのは後藤正樹だった。後藤花梨に頼まれて、スキンケア用品を届けに来たらしい。

他人の目があるせいで、父はどうにか怒りを飲み込んだ。

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