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後藤正樹視点

昼に隊を率いて空港へ降り立ち、国境をまたいだ視察任務を終えた。

チームの連中と飯を済ませたあと、臨時のマンションに戻って少し身体を休める。ついでに特殊部隊駐屯地の管理棟にも顔を出した。

机の上に、黒い革張りの収納箱が置かれている。

ちらりと見ただけで、すぐ分かった。

こういう特注の革箱に手仕事を収めるのは、白川蘭の癖だ。

俺は迷わず箱を引き寄せ、蓋を開けた。

中にはコーヒーカップのセット。灰青色の、透けるような質感。雨上がりの山に立つ霧みたいに、澄んでいて、ひやりと冷たい。

箱の底には、手書きのカードが一枚、そっと押さえられていた。見慣れすぎた筆跡に、息が止まる...

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