92、

白川蘭視点

後藤正樹は頭を垂れ、額を私の肩に押し当てたまま、ゆっくり息を吐いた。

胸の奥で荒れていた鼓動が、しばらくしてようやく落ち着いていくのが分かる。

私の腕を抱く指先が小さく震え、熱を帯びた吐息が何度も首筋をかすめた。追い詰められて、救いを求めて――ようやく唯一の光にしがみついた人みたいに。

理由もなく鼻の奥がつんとして、目の奥が一気に熱くなる。

自分で体験しなければ、信じられなかった。

この世に、私を神様みたいに扱って、壊れものみたいに大事にして、真心の全部で愛してくる人がいるなんて。

私たちはただ抱き合ったまま、何も言わなかった。胸の奥に溜め込んでいた感情が、じわじわ...

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