92、
白川蘭視点
後藤正樹は頭を垂れ、額を私の肩に押し当てたまま、ゆっくり息を吐いた。
胸の奥で荒れていた鼓動が、しばらくしてようやく落ち着いていくのが分かる。
私の腕を抱く指先が小さく震え、熱を帯びた吐息が何度も首筋をかすめた。追い詰められて、救いを求めて――ようやく唯一の光にしがみついた人みたいに。
理由もなく鼻の奥がつんとして、目の奥が一気に熱くなる。
自分で体験しなければ、信じられなかった。
この世に、私を神様みたいに扱って、壊れものみたいに大事にして、真心の全部で愛してくる人がいるなんて。
私たちはただ抱き合ったまま、何も言わなかった。胸の奥に溜め込んでいた感情が、じわじわ...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 1、
2. 2、
3. 3、
4. 4、
5. 5、
6. 6、
7. 7、
8. 8、
9. 9、
10. 10、
11. 11、
12. 12、
13. 13、
14. 14、
15. 15、
16. 16、
17. 17、
18. 18、
19. 19、
20. 20、
21. 21、
22. 22、
23. 23、
24. 24、
25. 25、
26. 26、
27. 27、
28. 28、
29. 29、
30. 30、
31. 31、
32. 32、
33. 33、
34. 34、
35. 35、
36. 36、
37. 37、
38. 38、
39. 39、
40. 40、
41. 41、
42. 42、
43. 43、
44. 44、
45. 45、
46. 46、
47. 47、
48. 48、
49. 49、
50. 50、
51. 51、
52. 52、
53. 53、
54. 54、
55. 55、
56. 56、
57. 57、
58. 58、
59. 59、
60. 60、
61. 61、
62. 62、
63. 63、
64. 64、
65. 65、
66. 66、
67. 67、
68. 68、
69. 69、
70. 70、
71. 71、
72. 72、
73. 73、
74. 74、
75. 75、
76. 76、
77. 77、
78. 78、
79. 79、
80. 80、
81. 81、
82. 82、
83. 83、
84. 84、
85. 85、
86. 86、
87. 87、
88. 88、
89. 89、
90. 90、
91. 91、
92. 92、
93. 93、
94. 94、
95. 95、
96. 96、
97. 97、
98. 98、
99. 99、
100. 100、
101. 101、
102. 102、
103. 103、
104. 104、
105. 105、
106. 106、
107. 107、
縮小
拡大
