94、

白川蘭視点

周囲の空気が、ぱきんと凍りついた。吹雪の音さえ、ふっと消えたように感じる。

父も母もその場で固まり、顔にはありありとした困惑が浮かんでいた。

後藤花梨だけが事情を知っている。けれど、こんな状況ではいちばん口を開きづらいのだろう。彼女は笑顔すら作れず、棒立ちになっている。

しばらくして、後藤淳史がようやく乾いた笑いを漏らし、沈黙を割った。

「正樹、冗談にしちゃ笑えねえぞ」

後藤正樹は表情を崩さない。

「冗談じゃない」

また沈黙。息が詰まるほど重い空気が、じわじわと部屋を圧した。

先に口を開いたのは後藤正樹だった。

「外、風が強い。中で話そう」

年上たちは突然の...

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